1年後の経年変化。ユニクロU セルビッジデニムの色落ちは?
UNIQLO U 2022SSが発売になるということは、UNIQLO U 2021SSで購入したユニクロUのセルビッジデニムを履き始めてから、ちょうど1年が経過するということで。
経年変化や色落ち具合についてまとめておきます。
色落ちに関しては、実際の効果自体には半信半疑ながらもファーストウォッシュ時に色止めも行い、洗剤でただ洗うだけの時よりは多少色落ち具合も緩やかになっているはずなので、この辺の経緯についてはファーストウォッシュについてまとめた記事もあわせてお読みください。
で、実際どの程度の色落ちがあったのか?
通称酸止め(クエン酸使用)&塩止めの色止め効果で本当にデニムの色落ちが防げたのか?
購入から一年後の経年変化について、購入当初のレビューや写真と見比べながらレポートしてみたいと思います。
また、セルビッジデニムやリジットデニム、生デニムなど、デニムの名称に関して混同しやすい知識についてもまとめました。
ユニクロUの定番アイテムになったセルビッジデニム
2020AWの初登場以来、ユニクロUの定番アイテムとして人気を集めるセルビッジデニム。
2021SSのユニクロUコレクションの中で、詳しい商品ラインナップがリリースされる前から購入を決めていました。
というのも、2020年の年末ごろから無性にリジット感のあるオーセンティックなデニムが一本欲しくなっていたのです。
ユニクロUのコレクションとしては、2020AWに一度「セルビッジレギュラーフィットジーンズ」としてラインナップされていましたが、発売当初はそこまでデニム欲が無かったため、気持ちが高まったころには既に売り切れに。
ユニクロの2021SS事前展示会の情報が流れて来た際には、春夏にも同様のセルビッジデニムが発売されるという前情報が公開されていたので、買い逃すことの無いようにと事前にユニクロオンラインのお気に入りリストに登録していました。
一見すると「特徴が無いのが特徴」のようなとてもシンプルなリジットデニムですが、そのシルエットやディティール、生地感についてレビューしてみたいと思います。
結論としては、カイハラデニムが代名詞的に定着したユニクロと、世界的デザイナーであるクリストフ・ルメールのディレクションが組み合わされた渾身の一本であると認識しています。
セルビッジデニムの魅力とは
まずセルビッジデニム・セルビッジジーンズとは、旧式力織機(シャトル織機)で織られたデニムのこと。
セルビッジ=耳の語源が示す通り、ロールアップした際に見られる「赤耳」と呼ばれる特徴的な生地の継ぎ目が目印。
セルビッジデニムの特徴としては、職人の手により旧式力織機の緩やかなスピードで生地が織られることでゆとりのあるテンション(糸の撚り)が生まれ、適度にムラのある凹凸が出ることで生地に立体感を与えます。
ヴィンテージライクな色落ちが楽しめると言われる由縁。
現代の高速の織機で織られる平面的なデニムでは生まれ得ない味わいがあるワケです。
太番手の糸でも織ることが出来るため、ヘビーオンスの重量級デニムを織ることも可能。
最大の弱点として、製造のスピードが出せない分大量生産には向かないため価格が高くなりがちで、まさに職人技術の賜物と言えるでしょう。
赤耳が特徴的なので、ロールアップしてチラ見せするのもコーデのアクセントとして使えます。
また、旧式力織機の証である耳のデザインも各ブランドで遊び心を加えることがあり、以前紹介したJAPAN BLUE JEANSでは「コートジボワール綿」を使用していることにちなんでコートジボワールの国旗を模した耳に仕上げているアイテムがあったりします。
各ブランドのデザイン性・ストーリー性も垣間見える瞬間でもあるので、注目して見るのも面白いと思います。
「セルビッチデニム」表記について
ちなみに、セルビッチジーンズやセルビッチデニムと書いてあるのをよく見ますが、もとの英語のスペルはselvage(あるいはselvedge)なので、セルビッチデニムという呼称は正確では無いと思います。(今となってはセルビッチと呼ぶ方が主流な気もしますが)
別にだからどうという話でもないのですが、筆者は基本的にはセルビッジデニムという表記で統一したいと思います。
本来が英語を日本語読みしていることを考えると、微妙な発音の違いが間違いとは言えないとも思いますが、認識として一応参考までに。
セルビッジデニムとリジットデニムと生デニムの違いと見分け方
ところで、セルビッジデニムとリジットデニムと生デニムの三つの言葉は比較的混同されがちな気がするのですが厳密にはそれぞれ違いがあります。
というよりは、それぞれの言葉が表す定義が違う。
- セルビッジデニムとは?
- 旧式力織機により織られた生地→『生地の製法』を表している
- リジットデニムとは?
- 洗い加工がされていない糊付きの生地→『生地の状態』を表している
- 生デニムとは?
- リジットデニムの中でも防縮加工されていない生地→『リジットデニムの種類』を表している
以上のように考えると分かりやすいと思います。
セルビッジデニムとは前述のとおり旧式織機で織られた生地でできたデニム・ジーンズのこと。
リジットデニムとはワンウォッシュ(洗い加工あり)やノンウォッシュ(洗い加工なし)などの加工をかけているかどうかを示す「生地の状態」を表す呼称。
ノンウォッシュのリジットデニムに関しては、生地に洗いをかけると生地の縮みが発生します。
リジットデニムには防縮加工(サンフォライズド加工)されているものとされていない物があり、特に生デニムと呼ばれるものは防縮加工がされていないリジットデニムのことで、水洗いすると1~2インチほど縮む(元のサイズにもよる)とされているのでサイズ選びに注意が必要な玄人好みの仕様。
無加工の生デニムはややマニアックな製品になり、大抵は縮みが発生する旨が商品説明に記載されているはずなのでしっかり確認しましょう。
リジット=固いという語源が示す通り生地に固さがあるので、デニムの醍醐味であるメリハリのある色落ちを楽しむならリジットデニムとされています。
以上のような種類分けを踏まえると、ユニクロUのデニムは「洗いをかけていないリジットで防縮加工有りのセルビッジデニム」ということになります。
つまり、初めて本格デニムを買う人が気になる「洗濯後の縮みによるサイズ変化」については、ほぼほぼ気にしなくていいのです。
加工されていない生デニムとは違うので。
ユニクロU セルビッジデニムのレビュー
ここからは、ユニクロU セルビッジレギュラーフィットジーンズを実物をレビュー。
シルエット
スタイルとしては、腰~腿回りに若干ゆとりのあるストレートシルエットの濃紺デニム。
ストンと落ちるバギーパンツライクな形ではありますが、太さとしては極端に太いわけではありません。
若干ちょっと、ほんの少し、気持ちばかり裾に向かってテーパードしていることで、野暮ったくならずに履ける仕様。
デニムに限らず、この手の緩やかなテーパードのパンツは本当に増えましたね。
丈は裾直しがいらない長さに最初から設定されています。
気が利いていますがこのあたりは賛否ありそうな部分で、例えば裾丈をあえて少し長めに残して「ロールアップの折り返し幅を広めで履く」とかは出来ない仕様。
筆者はデニムはジャストで履きたいので特に気になりません。(サイズの上げ下げで影響は出そう)
店舗ではロールアップして置かれていますが、筆者としてはロールアップ無しでストンと履きたい一本。
ユニクロU セルビッジデニムのサイズを選ぶ際には、
- 防縮加工有りで縮みが少ない
- 履き心地にゆとりがある
- 本来のシルエットが綺麗
以上のことからウェストジャストをチョイスするのが一番綺麗に履けると思います。
生地
コットン100%で、生地の厚みを示すオンス(1平方ヤードあたりの重さの単位)は13oz。
厚みとしては標準ど真ん中の範囲内で、気持ち軽めではあるもののほぼ平均とされる生地の厚み。
オンスの違いについては、夏場に履くような軽くて薄めの10オンス未満の生地をライトオンス、15オンス以上のデニムをヘビーオンスと呼ぶのが一般的。
綿100のノンウォッシュデニムは、昨今のポリウレタン混ストレッチデニムに慣れていると「生地のゴワ付きや動きにくさが嫌」なんて言葉も聞こえてきそうな時代。
本来であれば、この固さのある生地感と若干のゴワつきによる凹凸感こそがデニムの真骨頂と言っても過言では無いはず。
また、ユニクロのデニムと言えばカイハラ社のデニム生地を使用していることでも有名。
カイハラデニムと言えば、世界的な評価を受ける国内No.1のデニム生地メーカーで、紡績→染色→織布→整理加工までの全工程を一貫生産で行っている国内唯一のデニムメーカーです。
同じく国産デニム生地メーカーのKUROKI(クロキ)と並び賞される日本を代表するデニム生地ブランド。
+Jのレビュー記事で紹介した国産スーツ生地メーカーNIKKE(ニッケ)とMIYUKI(御幸毛織)のような関係性に似ています。
まさに世界基準の品質を誇る2大巨頭。
無駄のないディティール
各ディティールは至ってシンプル。無駄な装飾性は一切無し。
フランスのデニムブランド「A.P.C.(アーペーセー)」みを感じさせる綺麗めヨーロピアンデニムといった様相。
ルメールの母国もフランスですね。
刻印すら入っていないフロントトップボタン。
ザ・シンプル。
多くのブランドに採用されているウェストの革パッチやバックポケットステッチも無し。
なお一層A.P.C.みが深い。
リベット無しのコインポケットは通常よりも大きめに設定されているため、過度に目立つことなくボディに馴染んでいます。
通常であれば、コインポケットにZippoやコインを入れてわざと「アタリ=色落ち」を出すようなことをしたりするのですが、このデニムに関しては通常の規格とは異なるためより一層個性を楽しむことも出来そう。
これらディティールの装飾性の無さが、筆者の今のデニム欲にとてもマッチしていました。
フロントジッパー仕様
フロントにはYKKファスナーを採用。
前述の生デニムと防縮加工デニムの外見的な見分け方のひとつとして、ジッパーフライではデニム生地の縮みに対応できないため、防縮加工の無い生デニムではボタンフライが採用されていることが挙げられます。(ボタンフライ=生デニムではないことに注意)
デニム好きからは評価が分かれるところで、デニムにこだわるならフロントはボタンフライが絶対という人も少なくないはず。
筆者は、逆にボタンフライの煩わしさが苦手。
A.P.C.など見た目クラシックなデニムが履きたくてもボタンフライの為に躊躇することも少なくなかったので、ジッパーフライ仕様のユニクロU セルビッジは有り難い。
筆者としてはジッパーフライかボタンフライかが購入時の最後の決め手と言っても過言ではありません。
ライフウェア。
セルビッジ(耳)
セルビッジデニムの証である耳。
通常『赤耳』と呼ばれる赤のステッチが入ることが多いですが、ユニクロUのセルビッジはピンクがかった淡い色糸が使用されています。
赤耳の色が次第に薄れていくビンテージ感が再現されており、いわばルメールお得意の淡い色味を表現したものだったりするのでしょうかね。
可愛いのですが、個人的にはロールアップして履かないので視覚的な恩恵はそれほど得られませんが、こういった細部のこだわりは嬉しい。
レビューまとめ
初めてお披露目された時ほどの人気殺到は無いにしろ、常に一定以上の需要はありそうなアイテム。
「デニムを育てる」ということを考えたら、定期的に買い増し・買い替えをして違いを楽しみたくなるものでもあります。
今後は、出来れば最低でも14オンス以上のセルビッジも見てみたい。(この価格帯では難しいかな?)
ルメール×カイハラデニムのセルビッジが3,980円で買えるって改めてコスパヤバい。
ちなみに、デニムを履きはじめる際の初回の洗濯方法(ファーストウォッシュ)については、リジットデニムの洗い方の記事を参考にしてみてください。
購入したセルビッジデニムに関しては、出来るだけ初期のリジット感を残したまま綺麗めに履いていきたいと思っているので、色落ちを和らげる「色止め」についても試しています。
ここまでユニクロU セルビッジデニムのディティールについて紹介してきましたが、次の章からは一年履き込んだ後の経年変化について見ていきたいと思います。
セルビッジデニムに関連して、メゾンキツネのデニム記事もご覧ください。
ユニクロUのセルビッジデニム 1年後の経年変化
ここからは購入から1年経過したユニクロU セルビッジデニムの経年変化について。
特別コレクションの中でもすでに定番となったユニクロUのセルビッジデニム。
購入当初のリジットな雰囲気のまま履きたい気分だったので、ファーストウォッシュの際にクエン酸と塩を使った色止め(気休め?)を行いましたが、それを踏まえたうえで、1年間履き込んだ後の色落ち具合がどうなったのか、特に「色止めの効果があったのか?」を見ていきたいと思います。
着用頻度としては、平均で1週間に約1~2回くらい、多い時では週3~4くらいのペースで履いていたタイミングもありました。
デニムを育てるのを意識して履き込んだと言うよりは、あくまでもリジット感のあるデニムを日常の中で履きたいときに履くという感じで。
そういった意味では、シンプルで履きやすいため自然と手が伸びたということでもあります。
洗濯に関しては、ファーストウォッシュを終えてから2回目の洗濯であるセカンドウォッシュまで3ヶ月弱ほどの期間をあけて、それ以降については1か月~1か月半くらいのペースで洗濯しています。
セカンドウォッシュ以降の洗い方としては、
- デニムを裏返しでボタンは留める
- オシャレ着用の中性洗剤を使用
- 乾燥機は無し
以上のような手順。
基本的には普通の洗濯とほぼ同じように洗っています。
色落ちの比較
それではファーストウォッシュ直後の写真と現在の写真を比較していきます。
ファーストウォッシュ直後の色
まずファーストウォッシュ直後の色味。
ほぼ新品同様、糊落としをしたことで生地に立体感が生まれていますが、色自体はリジットな雰囲気そのままといったところです。
現在の色
実際に一年履いた後の色味。
全体的にうっすらと青みがかった色に変化しているのが分かるでしょうか。
写真では見えにくいかもですが、よーく見ると腿のあたりにヒゲ(横ジワの色落ち)らしきものが見えます。
やはり日常的にシワが寄るようなところには、うっすらとアタリのようなものが出始めているように思えます。
が、まだ1年ということと履いている頻度のことを差し引いて考えても、結構色止めの効果が出ているのかな?という印象。
後ろ姿の比較
続いて後ろ姿を比較してみましょう。
筆者は財布や携帯をヒップポケットによく入れるので、若干その影響も垣間見えるかな?というポケット下部のうっすらとしたアタリ。
やはり一番擦れやすい腰からお尻にかけてのステッチ周りは少し色落ちが出てますね。
「ハチノス」と呼ばれるヒザ裏のシワのアタリですが、シワ感は良い感じに付きながらも色落ちはまだそこまで目立っていません。
ユニクロUのセルビッジデニムはそれほどタイトなデニムではないため、ハチノス自体そもそも出来にくい or 出来てもフラットでうっすらとした仕上がりになると思われます。
裾の色落ち
裾に関しては先端だけうっすらと色落ち。
筆者は購入以来ロールアップ無し。
丈がもともと裾上げがいらない9分丈くらいの長さなので、通常のデニムと比べても日常の中でそれほど擦れる機会は無いかも。
前立てとボタン周り
やはり前立ての縁とボタン周りが一番色落ちが分かりやすい。
とはいっても、かなり色落ちは抑えられているような印象です。
やはり多少なりとも色止めの効果が出ているのだろうか。
ユニクロU セルビッジデニムの経年変化まとめ
1年履いてみて、想像よりも色止めの効果が出ていて、だいぶ色落ちが抑えられているような気がする…
もともと出来るだけリジットな雰囲気のまま履きたいと思って履いてきたわけですが、予想していたよりもしっかりリジット感が残っていると思います。
全体的にファーストウォッシュ直後よりもインディゴらしい青みが強く発色しているように思えますが、アタリなどの色落ちに関してはほぼほぼ確認できない程度。
少し履く日数と洗濯の頻度を上げて、ここから半年後位にどの程度色落ちが進むか見ていくのも面白そう。
特にアタリなどがしっかり付いていくのかに注目したいと思います。
22SSのユニクロUではオフホワイトのセルビッジデニムを購入予定。(※結局買わず…)
流行的にもまだまだデニムの流れは広がりそうなので、実験しながら楽しみたいと思います。
また半年後をお楽しみに。
ではでは。