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ユニクロ +J ウールテーラードジャケット

誘惑に負けて購入。ユニクロ +J(プラスジェイ)のセットアップを20AWニッケと比較する

2022年1月24日

先日紹介したユニクロ +Jのダウンオーバーサイズパーカーの記事でも少し匂わせていましたが、なんだかんだ言いつつ結局購入してしまいました。

ユニクロ × ジルサンダー21AWのセットアップ

ラストコレクション発表段階の当初では購入予定の無かったウールジャケット&ウールパンツのセットアップですが、ここまで残って値下げまでされてたら話は別!

どうしても欲しくなってしまうんですよねー。

やっぱりジルサンダーの十八番といえば、何といってもテーラリング。

ジャケットやシャツに代表される仕立ての良さが魅力なワケです。

そのテーラリングがセール価格で味わえるなら、これは買うしかないでしょ!

ってことで、ユニクロ+J 20AWで話題を呼んだニッケのセットアップと比較しながらレビューしたいと思います。

まずはじめに言っておきたいのは「ニッケの生地じゃないからといって"劣化版"ではないよ!」ということ。

その違いと優れている点についてまとめていきたいと思います。

ユニクロ +J 21AW ウールジャケット セットアップ

ユニクロ +J ウールテーラードジャケット
ユニクロ+J 21AW ウールジャケット

今季ユニクロ+Jのウールジャケット。

パンツとセットで購入。

色は黒。

思い返せば一度目の値下げ直後くらいだったか、まだ店舗に在庫がいくらかあった当初はネイビーが気になって一度袖を通しに行ったのですが、思っていたよりもチープに見えるようなブルー寄りの色味で心動かされず。

やはりジルサンダーの代名詞で選ぶなら深みのある黒だなーとは思っていたのでした。

結果的に黒のマイサイが最後まで残っていたワケですが、筆者にとってはありがたかった。

今回生地に採用されているのはニッケ社の生地ではなく、ウール100%の梳毛素材。

梳毛素材とは、羊毛の表面をコーミングすることで短毛を梳き落とし、均一で滑らかに仕上げた撚り糸のこと。

コットン素材でも同様の工程で作るコーマ糸(こーまし / こーまいと)がありますね。

コーマ糸は、オススメパックTの記事でも紹介したFRUIT OF THE LOOM(フルーツオブザルーム)のヘビーオンスパックTなどにも使われています。

コーミングの工程を経ることで均一に撚ることが出来るので、表面の滑らかさや光沢感が得られるというワケです。

一般的には高級な部類のスーツなどに使用されることが多い梳毛素材ですが、割りと広く使われる素材でもあり、20AWのニッケ素材と比べると梳毛素材自体にそこまで特別感があるわけではないですね。

もとがユニクロである、ということを考えると感覚が鈍っている気もしますが…

21SSに出ていたメリノウール×ニッケ加工のハリ感のある素材ともまた違うので、この辺りの素材選びが結果的に在庫余りにつながっている気もしますね。

いっそのことシルク混とかカシミヤ混とか、他では手を出しにくい混紡素材で作っていたら話題を呼んだと思うのです。

ただし、「じゃあニッケのジャケットに劣っているのか?」というと、よくよく物を見てみればそんなことも全くなく。

そもそも利用シーンというか、目指す形が全然別物であることが分かります。

生地感の違い

ここから前回のセットアップスーツと比較してみていきたいのですが、まず前回発売された20AWニッケの生地は、起毛感のある厚手のウール素材。

ジルサンダー×ユニクロ +J ウールテーラードジャケット
ユニクロ+J 20AW ウールテーラードジャケット

ちょっとしたコートを思わせるほどガチッとした固めのジャケットで、季節感としては完全に秋冬用。

少し温かいシーズンでは着用をためらうほどの仕上がりでした。

表面のぬめっとした光沢感も際立っていて、明らかにフォーマル寄り。

一方、21AWのジャケットはというと、一転してとろみのある柔らかな生地感。

前述の梳毛素材によってソフトな生地感を強調しています。

光沢感も強いのですが、ニッケの生地と比べるとドレープ感のある滑らかな光沢で、華やかさ・セクシーさを感じさせます。

ユニクロ+J 20AWのレビュー記事でも書いていたのですが、20AWのニッケ生地セットアップが力強さや貫録を感じさせるブリティッシュ風。

かたや、21AWのセットアップは柔和でしなやか、軽快さを感じさせるイタリアン風といったところ。

生地感の違いからだけでも相当印象が違うワケですが、これを踏まえた上でさらに細部のディティールを見ていくともっと面白いのです。

仕立ての違い

生地感の違いからブリティッシュ風、イタリアン風という見立てをしましたが、実はこれを踏まえて考えると仕立てにも大きく変わったポイントがいくつかあるのです。

まず袖の重ねボタンですが、これは20AWも21AWも同じ仕様。

ユニクロ +J ウールジャケット 重ねボタン
袖口の重ねボタン

恐らく機械縫いでしょうが袖口に立体感を持たせるとともに、ちょっとしたこだわりも感じさせます。

残念ながら、今季も本切羽(=ボタンを開閉できる)仕様ではありません。

次にフロントのダーツの有無。

ユニクロ+J ウールテーラードジャケット フロントダーツ
ニッケジャケットはフロントにダーツが入っていた

20AWではウエストにダーツを入れることでウエストを絞り、胸元を立体的に見せていました。

21SSではダーツを排し、エレガントな雰囲気が漂っています。

ユニクロ+J 21AW ウールジャケット ダーツ無し
21AWはダーツが無く、エレガント

これは一部地方発のイタリアン(北中部フィレンツェ)で見られる特徴。

次、肩。

ユニクロ+J nikke 肩まわり
20AWのニッケジャケットは、肩・胸のボリューム感が魅力

20AWのニッケジャケットは肩回りのボリューム感と胸元のハリが特徴的でした。

21AWはというと、肩から袖にかけて流れるようにつながっており、生地感と相まって少し肩の落ち感も感じさせます。

ユニクロ+J 21AW ウールジャケット 肩回り
肩回りの滑らかな曲線

これもイタリアンのディティール。

おやおや…?

極めつけは胸の内ポケット。

ユニクロ+J 21AW ウールジャケット お台場仕立て
台場仕立ての内ポケット

表生地が内ポケットを取り囲むように回り込んで縫われているのが分かります。

これは20AWのレビューの際、筆者がこだわってほしかったポイントとしても挙げていた「お台場仕立て」というディティール。

21SSのジャケットにもこの仕様はなかった(はず)。

一般的にはポケット周りの裏地の補強的な意味合いで始まったと言われている台場仕立てですが、現代ではオーダースーツでオプションとして用意されていることからも分かるように、「こだわって仕立てている証」的な意味合いの方が強いのです。

これもカッチリとした毛芯で仕上げるブリティッシュでは通常取り入れられず、柔らかな生地を使用するイタリアンのディティール。

…なんということでしょう!

比較してみれば一目瞭然で、完全に別物のディティールですね。

21AWでは明らかにイタリアン風を意識した仕立てで仕上げられています。

ニッケ生地か否かの優劣ではなく、そもそも目指している目的地が違っているワケなのです。

であれば、梳毛生地の柔らかな素材を使用しているのも納得感が出てきますね。

本当に20AWと同じ人のディレクションなの?と思わず疑ってしまうほど…

ちなみに、筆者が台場仕立てとともに前回指摘していた襟の「ヒゲ」。

表から裏地に生地を巻き込むように仕立てる仕様のことですが、

ユニクロ+J 21AW ウールジャケット 襟ヒゲ
表地が内側に巻き込むように縫われている

今回はバッチリ仕上げてきています。

ヒゲ襟は、もともとは上襟の長さの調整だったり、襟のハネを防ぐ役割を担っていたのですが、現代においては台場仕立てと同じく「良い仕立ての証」的な意味合いが強いです。

ユニクロさんなのかジルさんなのか、今回のジャケットは細部のディティールをホントに良く仕上げてきましたね。

テーラリングを得意とするデザイナーズブランドを思わせる仕立て。

カジュアルな装いにも合う

フォーマル感の強かったニッケセットアップから一転、カジュアルな要素が強くなった21AWのセットアップ。

よりカジュアルになったことで、セットアップにこだわらずともジャケット単体での着まわしやすさが上がり、日常シーンでも幅広く活躍してくれそうな気配がしています。

生地感としては基本的にオールシーズン使えるとは思いますが、さすがに真夏に関しては背抜きジャケットの快適さには負けるので、春コーデ・秋コーデの主役に、冬はコートを上に羽織って、という3シーズンで主に活躍してくれることでしょう。

そして何度でも言いますが、ジルサンダーさんのセットアップはとにかくシルエットがめちゃくちゃキレイ!

当初は買うつもりもなかったのに、袖を通したら最後、買わずにはいられなかった…

セールで格安だし…

ディティール凝ってるし…

もちろん後悔はない。

ケアの方法

ちょっと余談ですが、スーツ地やコートなど、冬物定番のウール系製品のケアって皆ちゃんとしてるものなのですかね?

シーズン終わりにクリーニングに出せばまあそれはそれでいいかなと思うのですが、日常のちょっとしたケアで長持ちさせ快適に着られる期間がグッと延びるのも事実。

とはいっても、あまり労力もお金もかけたくないし、めんどうなことは続かないので、筆者が定期的に行うケアは2点だけ。

ブラッシング衣類スチーマーの二つ。

ブラッシングは主に無印の豚毛ブラシを愛用しています。

Amzonをはじめ、ECモールだとかなり割高でビビった…

無印の公式で買うか、別ブランドの豚毛ブラシでも良いと思います。

天然素材のブラシの代表例は豚毛か馬毛の2種類で、豚毛の方がハリコシ強め。

シルクやカシミヤなどの繊細な生地の場合は、より柔らかい馬毛の方が良いとされていたりしますが、スーツやコートなどウール素材のアイテムは基本的に豚毛ブラシで良いと思います。

スーツ地などは特にそうですが、密度高めに仕上げられているので、馬毛の柔らかい毛だと表面のホコリを払うくらいのもので、奥に入り込んだ汚れなどは基本的に落とせないと思ってるんですよねー。(主観ですが)

ブラッシングに関して色々なスーツ屋さんが言ってることを見てもマチマチですし。

一応、今季のセットアップに使用されている梳毛素材も少し繊細とされる部類の素材なので、もし黒毛豚毛ブラシのハリコシが気になるようなら、若干ソフトな白毛の豚毛を選ぶのも良いと思います。

次に衣類スチーマー。

衣類スチーマーは、形の成形というアイロンとしての機能はもちろん、洗濯することが難しいジャケットやコート類などの除菌・消臭効果ももたらしてくれます。

また、天然繊維の大敵である虫食い防止のための殺虫効果も期待できます。

筆者は現在、ティファールのハンディタイプ衣類スチーマーを愛用中。

なのですが、ちょっとパワー(スチーム量)が弱めなところがずっと気になっていて、新しい衣類スチーマーを目下検討中です。

ティファールの上位機種か、パナソニックのスチーム専用のどちらかかかなーという感じなのですが、いずれにしろ「ハンガーにかけたまま使える」のが必須事項。

面倒くさがりなもので…

シワになりやすいとして悪名高いユニクロ+Jのシャツ類も、衣類スチーマーがあれば手入れもだいぶ楽になります。

もし持っていない方は一緒に検討しましょ。

あ、クローゼットの防虫剤・防カビ剤は言わずもがな。

まとめ

20AWのニッケ生地とはまた異なったこだわりが感じられた、ユニクロ × ジルサンダーコレクション最後のセットアップ。

このクオリティで上下合わせて1万8000円で買えるとは、お買い得以外の何物でもないと思う。

軽やかな着心地になったことで、日常にもより取り入れやすくなったのは大きなメリット。

シルエットがとにかく秀美。

今季は細部のディティールにもかなりこだわっていて、セールまで残っていなければ危うく見逃すところでした…

前回まででセットアップを購入していた人は同じようにスルーしている可能性が高そうですね。

黒ならサイズによってはまだ実店舗でギリワンチャンあるっぽいので、気になった方はぜひ一度袖を通してほしい。

同じエリア内なら近隣県からのお取り寄せもできるはずなので。

夏になったら宅配収納サービスのminikura(ミニクラ)クローゼットに預けてしまうのも手ですね。

クリーニングも頼めるので。



今季でユニクロとジルサンダーのコラボは終了しますが、過去の事例通りならば、ベストセレクションとして人気の高かったアイテム限定で「ベストオブ+J」を発売する可能性は高いです。

その際には、今季のセットアップは分かりませんが、ニッケのセットアップは恐らく発売されるのではないでしょうか。

なんだかんだユニクロ+Jは最後まで楽しませてくれましたね。

大満足、おなか一杯!

ではでは。

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