ユニクロの新作コットンキャンバススニーカー。品質は悪くないけど…
ユニクロから2020年の新作としてリリースされたコットンキャンバススニーカー。
ハイカットとローカットの2種類で登場。ハイカットはホワイトとブラックの2色展開、ローカットは白と黒の2色にオリーブを加えた3色展開となっています。
同時期に発売となった本革スエードのチャッカブーツををリリースしたことも合わせて考えると、ユニクロはこれからシューズにも力を入れていこうとしているのでは?という意気込みが感じられるようなラインナップ。
今回は、コットンキャンバススニーカーのローカット・ホワイトカラーを試しに購入してみたのでレビューします。
また、今後ユニクロがスニーカーをはじめとしたフットウェアカテゴリーでファンを獲得するために何が必要かも考えてみましょう。
※その後、2021年にも同様のキャンバススニーカーが発売されましたが、細部のマイナーチェンジはあるものの、2020年モデルで筆者が抱いたような印象は変わりませんでした。
ユニクロのコットンキャンバススニーカー
今回ユニクロから発売になったキャンバススニーカーは、価格から見ても無印良品の「疲れにくいスニーカー」を意識してるのではないかと想像されます。
無印の疲れにくいスニーカーは、隠れた名品として長年定着しており、果たしてその分野にユニクロが入り込んでいけるのか?ということを、今回発売になったキャンバススニーカーの特徴を踏まえて見ていきましょう。
アッパー素材
アッパー素材には厚手のコットンキャンバス地を採用。
キャンバススニーカーというジャンルに関していえば、最大手のコンバースをはじめ、スニーカーの中でも超超超定番中の定番な素材と形で、見た目がシンプルなアイテムだけに、各社それぞれに特徴を出そうと工夫している様子が感じられるアイテムでもあります。
ユニクロのキャンバス地に関しては、実際に触った感触としても生地感がしっかりしていて悪くない印象です。ハリもしっかり感じられてヨレも無し。
撥水加工キャンバスを採用しているので、ある程度の汚れにも対応出来るのではないかと思われます。
カラーに関しては、今回購入したホワイト以外でいうと、ローカットで展開している「オリーブ」の優しい色合いも良さげな雰囲気。
見た目
キャンバススニーカーはベーシックなアイテムだけに、ちょっとした造りが特徴として際立ちます。
まずトゥキャップは弓なりで面積の小さい形状。
アイレット(紐遠し)部分からトゥにかけてライン上に補強されたキャンバスがやや盛り上がっており、それが見ためにもボリューミーで、ほど良いアクセントになっているように感じます。
ちなみに靴紐はストレッチ性のある靴紐を採用しているので、脱ぎ履きのしやすさも考慮されています。が、見た目としては少し野暮ったさが際立ちあまりカッコいいものではないので、シューレースまでこだわるならコットン製のシューレースに替えることをオススメします。
サイズ感
日本人の足型に合わせて作られていると思われるので、普段履いているサイズ感で問題ないとは思います。
ただ筆者の場合は、ジャストサイズで履くと甲側親指付け根当たりのハトメが当たって痛いのでハーフサイズ上げました。(普段からハーフサイズ上げが多い)
長さに関しては無印のスニーカーの方が大き目な造りのように感じます。
無印の疲れにくいスニーカーと比較。
ユニクロのキャンバススニーカーの方が若干足幅にゆとりが感じられますが、土踏まず周辺からしっかりシェイプされているのですっきり感もあります。
より足の形に馴染むのはユニクロかな。
男女兼用ということで、ややレディースよりな造りになっている様にも感じられます。
ヒール
まっさらなヒール。
コンバースなどはここにブランド名の入ったヒールパッチが入ってきますがユニクロには(当然のごとく)無し。
かかとはしっかり補強されていて芯もカッチリとした印象。
ミッドソール
そこそこ厚みをもたせたミッドソール。
サイドから見ると、正面よりもスッキリとして見えます。
トゥとヒールのラバーテープにより周囲に厚みが出て、正面から見た時にボリューム感が感じられるわけです。
インソール
今回のユニクロキャンバススニーカーこだわりポイントその1.インソール。
肉厚でクッション性も高め。
足裏にフィットする形状ということで、履いた際のフィット感も悪くないです。
アウトソール
ユニクロキャンバススニーカーこだわりポイントその2。
ハニカム構造を採用したアウトソール。
一面に凹凸が配置されていることで、高いグリップ力を発揮。
面白いのが配置の仕方で、小さい凹凸を一段ごとに高さを変えているので、着地時にソール全面が着いてしまわないように工夫されています。
ハニカム構造の凹凸にプラスして段違いも加えているので、滑りにくさがより強化されているのかなと想像できます。
この辺りは濡れた地面で体験してみたいですね。
屈曲性がありながら適度な固さもあるソールで、踏み出すのにも余計な力が入らなくてよい。
ユニクロのキャンバススニーカーの総評
ここまで特徴を見てきて、あえて点数をつけるなら65点くらいかなと感じました。
造り自体で特に悪いところはないし、「ライフウェア」を掲げるユニクロとしてはベーシックなアイテムの投入として無難にまとめあげてきたという印象。
ただ、後発も後発なキャンバススニーカーとしてはあまりにも平凡というか、特徴が弱すぎると感じてしまったのも事実。
単純なキャンバススニーカーでいいなら、同価格帯かプラス1~2千円程度でメジャーブランドに手が届きますし、更に低価格ならGU(ジーユー)でもキャンバス素材のスニーカーがあったはず。(オンラインで見てみたらセールで1000円とか…)
ユニクロ商品だからこそ求める期待値も必然的に高くなるわけですが、ユニクロに求めているのは高品質素材を使った価格破壊的高コスパ(チープじゃなく)であったり、もしくは独自開発の機能性なワケですよ。
本革スエードのチャッカブーツの登場には少し驚きましたが、キャンバススニーカーに関してはあえてユニクロを選ぶ理由に乏しく、利用シーンも限定的かなと。
どうせキャンバススニーカーを買うのであれば、もう少し金額をプラスしてコンバースなどのメジャーブランドを買うか、最近の筆者イチオシの国産帆布素材を使ったキャンバススニーカーAmber Wall(アンバーウォール)あたりを購入することをオススメしたい。
ユニクロフットウェアの今後の展開を考える
では今後ユニクロがスニーカーを展開するにあたり、どんなプラスαを乗せればいいのか。
ひとつは、同時期に発売したチャッカブーツのように本革のスエードやレザーなど、より素材にこだわったスニーカーづくり。
ユニクロお得意のメリノウールを使った軽くて柔らかいプロダクトなども、最近のトレンドとしてはありだと思う。
メリノウールなら、作ろうと思えば意外とすぐに出来そうな気もする。
そしてふたつめ。
筆者的には断然推したいのが、ユニクロ独自の機能性素材であるブロックテックを使った防水・透湿スニーカーです。
防水・透湿素材としては、世界的に有名なGORE-TEX(ゴアテックス)があるわけですが、ブロックテックの特徴を見るに、まさにゴアテックス的な機能性なんですよね。
例えば既存のスニーカーブランドの定番モデルでも、ゴアテックス搭載のスニーカーとなると価格がゴアテックス分(+α)が上乗せされていても人気を集める事が多いのです。
せっかく独自性のある類似の機能性素材が有るわけですから、これを使わない手はないと思うの。(技術的な問題があるのかは知らないのですが)
例えば、昨今のトレンドの1つであり「ダッドスニーカーの次のブーム」と評されることもあるトレッキングシューズ・トレランスニーカーの形状にブロックテックを搭載し、同じくブロックテックを採用したトレッキングウェアと合わせて「ユニクロ×トレッキング」シリーズで展開することもありかなと。
近年じわじわ広がっているキャンプブームや、コロナ禍の影響により密を避けられるレジャーの需要増ということで、アウトドア用品に目を向ける人が多くなっていると考えられます。
またそれ以外でも、防水・透湿素材は求められる場面が多いので革靴やブーツなどでも需要が高いと思われます。
ブロックテック搭載シューズはなんとか実現して欲しいと願うばかり。実は既に取り組んでるのかもしれませんが。
こう考えてみると、ユニクロは日本を代表するアパレル系テック企業なんだなと再認識させられます。
まとめ
ユニクロのコットンキャンバススニーカーに関しては、一言でいうとザ・ベーシック。
悪いところは特に無いけれど、それゆえに平凡。あえて選ぶ理由に乏しく、「定番」と呼べるほどのアイテムに成長するかと言われれば難しいと思います。
ただ、今回のラインナップからはシューズ部門に力を入れていくのであろうという意気込みは感じられたので、今後の展開に期待したいところです。
まずはブロックテックシューズをなにとぞ。
ではでは。