日清食品の完全栄養食「All-in PASTA」は完全食市場のシェアを穫れるか
昨日こんなツイートが流れてきました。
(拡散希望)ベースフードを販売開始して2年、社員12名の会社で、インスタント食品大手の日清食品が“栄養バランスの良い”麺をリリースする結果になり、ノーベル栄養学賞モノと思っています(その賞自体はないですが…)。スタートアップらしく、Tech企業らしく、“健康をあたりまえに”に邁進します!
— 橋本舜 / BASEFOOD (@shun_bf) March 26, 2019
ベースフードの公式Twitter、及びベースフード株式会社の社長橋本さん。
一瞬どういうこと?と思いましたが、Twitterを読み進めると…なるほど。
最近はチキンラーメン(朝ドラ)でお馴染みの大手食品会社である日清食品さんが、「完全栄養食」市場に参入ということなのですね。
以下引用
日本人の多くが必要な栄養を十分にとれていない*3 現代において、1日に必要な栄養素を簡単に摂取できる「完全栄養食」のニーズが高まっています。しかし、市場に流通している「完全栄養食」には、食事としての満足感やおいしさが十分でない商品も多くあります。そこで弊社は、バランスの良い栄養を簡単に摂取できるだけでなく、食事としての量や食べ応えが十分あり、本格的なおいしさを実現した「All-in PASTA」シリーズを、全7品のラインアップで発売します。
日清食品さんのプレスリリースより
~中略~
創業者・ 安藤 百福 (あんどう ももふく) がインスタントラーメンという “簡便食" を発明してから約60年。現代に向けてアップデートした新しい “簡便栄養食" を、ぜひお試しください。
ロゴの雰囲気やプレスリリースの文言など、心なしかベースフードさんを意識しているような…?
プレスリリースの文言の締めに、昨今朝ドラで話題の創業者:安藤百福さんの名前と“「簡便食」から「簡便栄養食」へ“とつなげる宣伝の打ち方はさすがといった所でしょうか。
食品業界が無視できない「完全栄養食」というジャンル
アメリカの「ソイレント」から始まり、日本では「COMP」が先駆けとなったと思われる昨今の「完全栄養食」の流れは、現在の日本の市場規模的に創世記~成長期へと移行していると言える。
完全栄養食とは、サプリなどの「栄養を補う」目的とは若干定義が異なり、食事そのものの「代替」としての意味合いが大きい。
2017年に完全栄養食「ベースパスタ」を発表したベースフード株式会社は、ソイレントから始まった「パウダーを溶かして飲む」スタイルから、「″食べる″こと」に重きを置いて製品開発に取り組んでいる。同年には、先述のCOMPから「グミ」タイプの製品も発売された。
(ちなみに筆者はCOMP・ベースパスタいずれも購入経験があり、いずれも食品棚にストックされている。)
アメリカから始まった完全栄養食の流れは今後も広がるのではないかと予想される。
食品業界の大手が参入。その影響力は?
さて、これらを踏まえた上で、今回の日清食品参入である。
日本の食卓に大きな影響力を持つ大手が満を持して参入してきたことによる影響は、
- 市場拡大が加速
- 一般層への認知向上(ただし限定的か)
- 競合が生まれることにより、製品開発が加速
といった所でしょうか。
これまで、完全栄養食というジャンルが急速に拡大しているとはいえ、一般的な認知度はまだまだ高くないと思われます。
特に、スーパーやコンビニで普段買い物をする際にこれらを意識して商品を購入する事はないでしょう。(そもそも店頭に置いてないしね。)
それらの意識が、今回日清食品が参入してきたことで大きく変わるかというと
そこまで変わんないんじゃない?
と筆者は思うわけであります。
今回の参入が「パスタ」ということもあって、恐らくベースパスタを意識しているのは間違い無いと思うのですよ。価格設定も様子見というか、合わせてきた感があります。
その前提で考えると、現在ベースフードさんの顧客層って、既に根強いファンが多数を占めていると思うのです。ここから顧客を奪うとなると、製品に対して既存以上の高い質と価格が求められ、必然的にハードルが高くなるし個別のブランディングも必要。
「完全栄養食パスタ」と聞いてまっ先にベースフードを思い浮かべるのは、ベースフードさんが「一番企業」だから。一番企業としては大手が市場を広げてくれるのは大きなメリットでもあるわけです。
逆に言うと、これまでベースフードさんがどれだけファンを作れてきたかも重要ということではあるのですが。
そういった意味では、先月末にベースフードさんから発表された新商品「ベースブレッド」は、この上ないタイミングで発表されたとも思えます。「パスタだけではない」ということを認知させられたことは大きい。ベースパスタ以上に好評を博しているようにも見えます。
そうなると、今度は新規として一般層に周知させる戦略になると思うのですが、これはかなり時間がかかるだろうし、何より、大手の会社さんにとって投資対象としての規模が見合うかはまだまだ難しいのではないかな、と。
ただし!
今回、日清食品ということで最強のブランドが1つあるのですよね。
そう、カップヌードルです。
カップヌードルブランドで完全栄養食を出してきたら、一気に市場を持っていかれる可能性は大いにあると思います。一般認知度でいえば、食品というカテゴリーの中でも最強の一角。もはや即席めん市場の中でも「カップヌードル」という一つのカテゴリーと言っても過言ではないほど圧倒的。
もしも「日清のカップヌードル」という名前を冠し、価格を一般流通レベルまである程度抑えるものが出来てきたら、市場規模も一般認知度も一気に拡大するのではないでしょうか。
※当記事を書いてから3年後の2022年、オールインパスタブランドの終了を経て、『完全メシ』として本格的に進出。インスタント食品業界の最大手の力を存分に発揮し、ネット直販のみならず、コンビニをはじめとした店頭にも大々的に並び、売れゆきも好調の模様。
まとめ
筆者の見解として、今回の「All-in PASTA」そのものについては現時点でまだ懐疑的に見ています。(試してもいないのにあれですが)
日清さんが最大ブランドで攻めてきたら一気に戦国時代突入でしょうか。今回最大手が参入してきたことで、今後続々と大手が参入してくることも予想されますね。
市場規模が拡大する際、やはり「一番企業」は強いです。今回完全栄養食のパスタというジャンルで、一番企業としてのベースフードさんの存在を試されているのかもしれません。ファンとしてはその動向を見守りたいと思います。
記事初めに紹介させていただいたツイートの通り、ベースフードさん自体は市場拡大は大歓迎という様相。今回ような大手参入の動きは、先行しているベンチャーにとって追い風となることは間違い無いでしょう。
ちなみに、ベースブレッドの期間限定カフェは今月までですよー。
※追記
期間限定カフェ、4月7日まで延長決定だそうです。
\4/7まで期間延長!ベースブレッドカフェ/
— [公式] ベースフード (@BASEFOOD) March 27, 2019
期間限定BASE BREAD BAKERY&CAFEが、ご好評につき1週間延長👏いまだけの特別メニュー、ぜひこの機会におためしを〜!
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■場所:東京都渋谷区恵比寿西1-4-5
■期間:3/1-4/7 (期間中無休)
■営業時間:9:00-21:00 (L.O. 20:30) ※日曜のみ 11:00-21:00 pic.twitter.com/S9qBeDJntL
何はともあれ、一度体験してみないことには分からないので、All-in PASTAも早速注文してみたいと思います。本日10時より販売開始とのこと。
届き次第、そちらもレビューしてみたいと思います。
※追記
注文した商品が届いたので早速試してみました。