AURALEEも認める綿素材FINXコットンとは?最高品質のエジプト綿について解説
近年、ドメスティックブランドの中でも特に高い人気を誇るAURALEE(オーラリー)。
オーラリーと言えば、洗練された上質な洋服を実現するためのこだわりが強いことで有名。
今回は、そんなオーラリーが毎シーズンのようにリリースするフィンクスコットン素材のアイテムについて深堀りして書いてみたいと思います。
プチ素材厨を自称する筆者にとって、オーラリーのブランドコンセプトは正にど真ん中なのです。
AURALEE(オーラリー)の特徴
まずはAURALEE(オーラリー)というブランドの特徴について。
オーラリーとは、2015年にデザイナーの岩井良太氏が立ち上げたドメスティックブランド。
パリコレにも参加し、海外からも高い評価を獲得しているブランドとして今や定番といってもいいほどの勢いのあるドメブラのひとつ。
全体的にシンプルで上品、上質な着心地を兼ね備えたアイテムを多数リリースしています。
その上質さの秘密は、生地の糸づくりからこだわるという徹底的な品質の追及にあります。
以前読んだ岩井さんのインタビューで「まず生地があって、そこからどのようなアイテムを作っていくかを考える」と書いていたのを見たことがあるのですが、まさにオーラリーというブランドの在り方を端的に表している表現だと感じさせられました。
生地の品質先行で創り上げていくプロダクトづくりは、実に日本のモノづくりらしく、実に日本人の気質にマッチしていて、人気を獲得した大きな要因のひとつになっていると言えるでしょう。
また、オーラリーの運営母体はもともと生地問屋を営んでいるクリップクロップ。
同社が抱えるブランドとしては、KAPTAIN SUNSHINE(キャプテンサンシャイン) やWELLDER(ウェルダー)など品質に定評のあるブランドが並んでおり、オーラリーの高品質を支えるバックボーンとしても納得せざるを得ませんね。
同じ人気ドメブラという意味合いでCOMOLI(コモリ)と対で名前を挙げられることが多いですね。(方向性は若干違うと思うけど)
FINX COTTON(フィンクスコットン)とは?
前述のように、オーラリーは生地の糸からこだわって作りあげるブランド。
シーズンごとに発表されるアイテムでは、天然素材から化学繊維まで各アイテムごとに最適な生地選びをしていると思われるのですが、その中でももっとも多くのアイテムで目にする生地が、今回フォーカスするFINX COTTON(フィンクスコットン)です。
フィンクスコットンとは、世界三大綿のひとつであり、世界の中でも高い品質が評価されているエジプト綿の中でもさらに厳選された高品質コットンの名称。
そもそもエジプト綿自体が世界の綿の中で1%にも満たない量しか流通していないという、大変貴重なコットンなのです。
こちらはSHIPSで購入したフィンクスコットンではない通常のエジプト綿を使用したシャツ。
GIZAというのがエジプト綿のギザ地区で採取された超長綿のこと。
ギザコットンの中でも最も品質が高いとされるのがGIZA45と呼ばれます。
通常流通しているエジプト綿でも充分上質な素材感です。
VINCENTSHOELACEでは、ギザコットンを贅沢に使用したKATHLEEN(キャサリーン=オードリー・ヘップバーンのミドルネーム)という名の靴紐をリリース。
どこか感じさせる品の良さが、エジプト綿との相性ピッタリです。
このように、エジプト綿は品質の高さから上品な高級素材として扱われています。
話を戻して、世界三大綿といえば、アメリカ綿(ピマコットン)、エジプト綿(ギザコットン)、最近何かと話題の新疆綿(しんきょうめん)の3つが挙げられます。
一般的に、コットンの原料である綿花(コットンボール)からとれる繊維の長さによって品質が決まり、一定の長さを超える繊維が超長綿と呼ばれる高級綿として取引されます。
例えば、アメリカ産ピマコットンの中でも、品質基準をクリアしたものだけがSuperior Pima Cotton=スーピマコットン(ユニクロですっかりお馴染み)という名称で流通しているのです。
(時々、アメリカ綿=スーピマコットンかのような記述を目にするのですが、正確にはアメリカ綿の中でもより品質の高いものをスーピマコットンとして流通させているというワケです。アメリカのスーピマコットン協会が品質基準を管理しています。)
これと同様に、超長綿として高い評価を獲得しているギザコットンの中でも、手摘みで収穫し、独自の品質基準をクリアした最高クラスの品質を誇るコットン素材がフィンクスコットンというわけです。
フィンクスコットンは、「シルクのような光沢とカシミヤのような肌触り」と称されるほど見た目にも美しく、直に触れても優しいというまさに最高クラスのコットンなのです。
ちなみに、FINXという名称は日本のテキスタイルメーカーが商標を保有しており、フィンクス協会も同じく日本で発足された団体のようです。
まさに日本が誇る素材の品質を日本が誇るドメスティックブランドが作り上げるという構図ですね。
オーラリーのフィンクスコットン
ここからはオーラリーが出している実際のアイテムを見てみましょう。
AURALEE/FINX SHUTTLE OX SHIRTS
フィンクスコットン素材を使用したオーラリー定番のオックスフォードシャツです。
細番手のフィンクスコットンを旧式のシャトル織機(セルビッジデニムなんかもシャトル織機ですね)でゆっくりと織り上げた生地を使用。
オックスフォードシャツらしくふっくらとした立体感のある生地に、まるでシルクのような滑らかさと光沢感が感じられる逸品。
淡い色味を得意とするオーラリーらしいエクリュカラーで、絶妙な風合いがたまりません。
もちろん生地だけでなく細部までぬかりなく。
オーラリーは縫製もキレイ。
ボタンはすべてシェル(貝)ボタン。
何といっても圧倒的なまでの着心地の良さは、1度着たら病みつきになるほど。
AURALEE/WASHED FINX LIGHT BIG CHINO SHORTS
こちらはタテ糸に先染め太番手のフィンクスコットン、ヨコ糸には同じく超長綿として品質の高いジンバブエコットンを使用した高密度チノクロス生地のショーツ。
しっかりとしたボリューム感を感じられるワイドシルエットで、ショーツというよりは丈の長さも5分~6分丈ほどはあるようなビッグサイズのハーフパンツです。
生地にはニドム加工という叩き・揉み洗いを施すという特殊な加工がされています。
ニドム加工を施すことで、生地に柔らかい風合いが生まれ、ほどよく履きこんだような独特の風合いが感じられます。
上品な光沢感のあるブルーグレーの色味も美しい。
ベルト付きでウエストサイズの調節が可能。
左サイドにのみ、ビッグサイズのカーゴポケット。
カーゴポケット、バックポケットに使われているボタンはすべて大ぶりの黒蝶貝ボタンを使用。
一見野暮ったくなりそうなワイドシルエットのハーフパンツですが、生地感が素晴らしいため程よく上品で洗練された印象で、着まわしやすいのが特徴。
生地に柔らかさがあるため履き心地も上質です。
セレオリとフィンクスコットン
ここまでオーラリーの製品を紹介してきましたが、フィンクスコットンの生地自体は各セレクトショップのオリジナルアイテムでもよく見かけるようになってきました。
おそらくオーラリーの多大な影響力もあると思うのですが、セレオリアイテムを見る際はこの辺りの素材にも注目してみるとより満足感が高いかもしれません。
オーラリーに比べるとまだ比較的手を出しやすい価格帯に収まっていたり、大幅セールになっていることもよくあるので、フィンクスコットンの生地に触れてみたいという方にはまずセレオリアイテムから入ってみることもオススメです。
SHIPS/FINX MOLESKIN TUCK PANTS
SHIPSはフィンクスコットンを積極的に取り入れているセレクトショップのひとつで、結構気合いが入ったアイテムをリリースしていたりします。
こちらはフィンクスコットンを使用したモールスキンのパンツ。
モールスキンとは「モグラの毛皮」を意味する生地のことで、厚みのある生地感とヌメッとした光沢感が魅力の素材感。
裏地にはフィンクスコットンを使用していることを表す「FINX」のタグが縫い付けてあります。
肉厚で温もりのあるノンストレスな履き心地。
SHIPS/FINX MOLESKIN COAT
パンツと同じくSHIPSより、フィンクスコットンのモールスキン素材を使用したフードコート。
コットン100%とは思えないほどの光沢感が魅力。
厚手生地なので防寒性も充分。
こちらはセール価格で確か1万円しないくらいで購入した覚えがあります。
ADAM ET ROPÉ/FINXパナマレギュラーシャツ
個人的に少し意外だったのがADAM ET ROPÉ。
こういう素材感を大事にしたような商品をリリースしていることを全然知らなかった。
お気に入りのパックT、ブルックスブラザーズのスーピマコットンパックT アダムエロペ別注ネイビーを今年追加で購入した際に合わせて購入してみたのでした。
こちらのシャツは、フィンクスコットンをパナマ織りで仕上げた薄手のシャツ。
サラッと羽織れるうえに、フィンクスコットンのおかげかパナマシャツ特有のザラつきが抑えられているため、非常に着まわしのしやすいシャツでめちゃくちゃ重宝しています。
季節の変わり目など、少しだけ肌寒さと温かさが混ざったような気候の時にピッタリ。
ADAM ET ROPÉさんにはあまりなじみが無かったけど、案外セレクトショップ然とした雰囲気あるのね。
素材感と織りをうまく生かしたこのシャツは名作だと思います。
別記事で紹介しているフィンクスコットンM-41チノといい、アダムエロペさんもなかなかやりますな。
まとめ
今回は素材厨らしく生地にフォーカスして紹介してみました。
オーラリーが素晴らしいのはもちろん、他ブランドも上質な生地を活用したアイテムづくりに励んでいることがよく分かりますね。
それもこれも、オーラリーという一流ブランドが引き上げてくれてこそだとは思いますが。
アイテム選びに迷ったときは、今回のようにその素材に注目してみても面白いと思います。
ではでは。