モッズコートの原型!M-48フィッシュテールパーカー。今は無きブランド「goa」の再現度がマニアック
前回紹介したUNBLEACHEDの記事の中で少しだけ触れましたが、今回はUNBLEACHEDの前身ブランド『goa(ゴア)』から出ていたモッズコートM-48について深堀りしてみたいと思います。
モッズコートの原型とも言えるM-48 フィッシュテールパーカーをデザインソースとしたgoaのコート。
確か6~7年前くらいに購入したものだと思うのですが、一旦倉庫に眠っていた物を一昨年位に引っ張り出してきて、今もう一度楽しんだりしていました。
こちらのアイテム、今の気分に再びマッチしているということももちろんあるのですが、今改めて見返したときの各ディティールの再現度やこだわり具合がかなり秀逸な造りになっていたので、M-48の歴史を振り返りながら見ていきたいと思います。
モッズコートとは?
M-48の歴史に触れるには、まず「モッズコート」というアイテムカテゴリのルーツについて触れていかなければならないでしょう。
今やミリタリーコートの定番となったモッズコートの始まりとは?
モッズコートの歴史を紐解く
モッズコートとは、広義の意味では
ミリタリー由来のロング丈パーカーのことを指した名称です。
フィールドジャケットの上から羽織れるように、ビッグシルエットでゆったりとした着心地になっています。
「フィッシュテール」と呼ばれるように、後ろの裾の先端が燕尾状に分かれ、長めに仕立てられているのが特徴的。
近年では、SEKAI NO OWARIが「Dragon Night」で着用したことで人気に火が付いたと言われる米軍ミリタリーアウターM-65が有名になりました。(というか当時から既にモッズコートブームが定着していて、さらに追い風という方が正確かと)
「モッズコート」と呼ばれ始めたM-51
モッズコートブームのきっかけとなったM-65ですが、本来「モッズコート」という呼称が使われだしたのは、M-65の前身モデルであるM-51が始まりとされています。
M-51とはもともと米陸軍の寒冷地用コートで、TVドラマ・映画と大人気を博した「踊る大捜査線」にて、織田裕二さん演じる青島刑事が着用していたことでもよく知られるようになったモデルです。
「モッズ」とは、1950年代~60年代にかけて、イギリスの労働者階級の若者たちの間で流行した音楽やライフスタイルなどのカルチャーを体現する人々の名称で、そんな彼らモッズが愛用していたのが米軍放出品であるM-51だったため、M-51のことを「モッズコート」と呼ぶようになったようです。
M-48から引き継がれるモッズコートの形
ここまででモッズコートの大まかな起源を知ったところで、今回紹介するM-48フィールドパーカーのお話。
M-48とは、モッズコートと呼ばれるようになったM-51のさらにひとつ前のモデルにあたるフィッシュテールパーカーのこと。
つまり、M-48はモッズコートの原型でもあり元祖でもあるミリタリーコートというわけです。
非常に優れた機能性を有していたもののその分調達コストが嵩み、量産をスタートした1950年からわずか1年ほどでより低コストのM-51に取って代わられたという不遇のモデル。
生産期間の短さから、希少価値の高いモデルとしてもややマニアックな人気を博しています。
このように、現代におけるモッズコートという言葉は、言葉が生まれた当初よりも広い範囲のミリタリーコートの総称になってきているわけですが、こうして歴史を振り返ってみると、実はそのアイテムの裏に受け継がれているDNAのようなものを感じることができるので、時々深堀りしてみるのも面白いと思います。
goa M-48 モッズコート
さて、ここからは実際にgoaで商品化されていたM-48のレプリカについて書いていきたいと思います。
あえて「レプリカ」と表現させて貰いたいのは、各ディティールの作りこみがやたら凝っているように感じたから。
購入当初はそこまで細部を見て購入を決めたわけではなかったのですが、今改めて見返してみると、細部に渡るこだわりが感じられて大変興味深い一品だったのでご紹介します。
シルエット
モッズコートの原型であるフィッシュテールパーカー。
元ネタであるM-48のメイン素材であるコットンサテンの特徴的な光沢感もしっかり再現された綿100%素材のボディ。
ウエストのドローコードも再現し、絞ることでシルエットの変化も楽しめます。
使用時にはバサッと顔まで覆い被さるほどボリューム感のあるフード。
ファーにはフィンランド産の一級フィンラクーンを使用し、この辺り素材へのこだわりもぬかりありません。
購入当時、リアルファー使いでブラックのモッズコートを欲していて、探していた中で唯一条件をクリアしていたgoaというブランドに感動したような記憶があります。(この時代、いまさらリアルファーを新規で購入する気にはなかなかなれませんが、だからこそ現存しているリアルファーに関しては大切に扱っていきたい気持ちもあるのです…)
ファー部分のみを取り外すことが可能なボタン式着脱ギミック付き。
また違った表情を楽しむことができ、ライナーも一緒に取り外すことで、真冬以外の季節にもサラッと羽織れるライトなフーデッドコートとしても楽しむことができます。
フィッシュテール
モッズパーカーの最大の特徴でもある燕尾部分。
ドローコードと内側留めのスナップボタンもしっかりと再現されています。
スナップボタンで燕尾部分を留めておくことが可能。
機能面に配慮したギミックもしっかりと再現。
細部パーツのこだわり
ドローコードの留め具など、細部のパーツにオリジナルのレザーパーツを使用。
高級感があり、経年変化も楽しめる仕様。
フード裏にもドローコードが仕込まれていて、上記のレザーパーツに加え、先端には弾丸メタルチップ付き。
フロントファスナー上部にはレザー製のフラップ付き。
首元への風の侵入を防ぎ、より高い防寒性を発揮してくれます。
ウール混ポリエステル製のライナー
コート内側には、取り外し可能な防寒性の高いオリジナルデザインのライナーを採用。
goaのブランドイメージである遊牧民的な雰囲気が漂っています。
中世の北欧を想起させるようなデザインと色合い。
とてもgoaらしいデザインで筆者の好みです。
袖のみポリエステルキルティング仕様で、着用の際の袖通しの良さもしっかり確保しています。
他のモッズコートと違い、M-48ではフード部分までライナーがいきわたるように配置されるのですが、goaのM-48ライナーもしっかりと元になったM-48の特徴を再現しています。
最近では、キルティングライナーを単独で着るのが流行っていたりしますが、こちらのライナーも単独使いで十分な防寒性を発揮してくれます。結構な重量あり。
肉厚で保温性もバッチリです。
裏地にヘリンボーン生地
筆者の推しポイント。
フード裏地やポケットのスレキにヘリンボーン生地を採用しています。
手を抜いてもバレ難い裏地、しかも通常であればライナー付けっぱなしで全く目にすることが無いという可能性もある中で、こういった細部でのこだわりを発見してくれていると無性に嬉しくなってしまいますね。
特に、チラ見えするフード裏地の高級感のあるヘリンボーンの光沢感が最高です。
まとめ
goaから発売されていたモッズコートの元祖M-48フィールドパーカーについて書いてみました。
モッズコートブームの最中だったとはいえ、M-51やM-65ではなくあえてM-48をサンプリングしているあたり、goaはなかなかマニアックだったなーとしみじみ感じさせられます。
M-48関連を検索してみると、未だにgoaの名前が上位に出てくるくらいレプリカ関連も数が少ないようですね。
ディティールの再現度や凝り具合も紹介した通りの秀逸さ。
ミリタリー然としすぎず、要所にgoaの遊牧民クサさを感じさせてくれているあたり、数年たっても色褪せないな、と。(もともと「色褪せた感」が魅力のブランドという方が正しいか)
goa自体が無くなってしまったのは本当に残念でしたが、現在はUNBLEACHEDというブランドに生まれ変わり、より洗練されたアイテムをリリースしています。
これからの展開にもしっかりと注目していきたいと思います。
goa時代に大ヒットを記録したという「ビッグフードジャケット」についても、なにやら険しくも楽しそうなチャレンジがスタートしている模様で、今後がさらに楽しみです。
ではでは。
※シーズンオフのかさばるコート類の保管は寺田倉庫運営のminikura(ミニクラ)クローゼットがオススメ。